大規模修繕用語集

あ行

RC造 あーるしーぞう 鉄筋コンクリート造。Reinforced Concrete。コンクリートの耐圧縮力と鉄筋の耐引張力を組合わせた、日本国内で代表的な構造材料。
  朝顔 あさがお 工事中の資材等を道路や隣地に落下させないための仮設工事における養生物。建物の2階または3階部分の周囲に傾斜して張りめぐらした仮設の板材で、上向きに傾斜している姿から「朝顔」と呼ばれる。
  足場 あしば 建物の新築工事や修繕工事の際に、施工のために建物の外周を囲うように、又は高所の作業を可能にするために設置し、施工対象の部分の工事を可能にする仮設物。外部に設ける足場には、枠組足場、単管足場、くさび式足場、吊り足場などがある。
  アスファルト防水 あすふぁるとぼうすい アスファルトを使った防水工法で、液状のアスファルトを含浸・コーティングしたシート状のルーフィングを貼り重ねて防水層を形成する。熱工法・トーチ工法・常温工法などがある。アスファルト防水は高い信頼性により長い実績を持つ。
  アスベスト あすべすと 石綿。アスベストは、その高い耐熱性等から建築物の断熱材や吸音材などに使用されていたが、発がん性があることから新規の使用は控えられるようになった。一部の施設・部位には現在も撤去などの対策が取られていないものもある。
  アプローチ あぷろーち マンションでは、敷地の入り口から建物の玄関までの通路・車路等や1階の入り口付近のことを指す場合が多い。
  アルカリ骨材反応 あるかりこつざいはんのう アル骨(あるこつ)と略され、コンクリートに含まれるアルカリ性の成分が骨材(砂利や砂)の特定成分と反応し、異常膨張やそれに伴うひび割れなどを引き起こす現象。
囲障 いしょう マンションでは、目隠しフェンスやメッシュフェンス、柵、いけがきなどのことで、主に隣地との境界や道路境界に設けられているもの。
  意匠 いしょう 「デザイン」を指す。特に建築設計においては、「構造」「設備」などと区分する際に用いられることが多い。
  インターロッキングブロック いんたーろっきんぐぶろっく 歩道や広場などの地盤面に用いるコンクリート製のブロック。IB。ブロック側面が波状のかみあわせブロックで、ブロック間の目地から雨水が地中に浸透するため、透水性舗装材としても用いられる。
ウォーターハンマー現象 うぉーたーはんまーげんしょう 給水管が「カン!」と鳴る現象。水が流れている状態から急に蛇口を閉めた時やポンプを急停止した時に、管の内部に急激な水圧の変化が発生し、管が振動して大きな音を出す。
  浮き うき 壁や床に使われているモルタルやタイルと、塗り重ね・貼り合わせした下地との間に隙間が生じている状態。外壁の大面積の浮きや盛り上がる程の浮きは、外壁仕上げ材が落下する危険性も考えられる。
  内断熱 うちだんねつ 鉄筋コンクリートの壁・柱・梁などの躯体の内側(室内側)に断熱材を設ける断熱工法。鉄骨造や木造などの軸組構造では、壁の厚みの部分に断熱材を充填する。⇔外断熱。室内側の熱容量が小さく、冷暖房を開始した際の室温の変化が早い、断熱材が室内側の湿気にさらされやすいなどの特徴がある。
  打ち継ぎ うちつぎ コンクリートの打設の時間的な間隔によって生じる、硬化したコンクリート又は硬化し始めたコンクリートと、新たに打設されるコンクリートとの継ぎ目のこと。コンクリートが一体化しにくいため、構造的な又は防水面での弱点になりやすい。外壁などの打継では雨水浸入の防止のために、目地を設けてシーリング材を充填することが多い。
  打放しコンクリート うちはなしこんくりーと コンクリートを打設した後、型枠を外した(脱枠した)コンクリートに塗装やタイル貼り等を行わずに、そのまま見せる仕上げ。うちはなし・うちっぱなし。型枠の精度を要する。
  ウレタン防水 うれたんぼうすい ウレタンゴム系塗膜防水。コンクリート等に液体状のウレタン樹脂を塗り付け、塗布した材料が化学反応して固まり(硬化する)、ゴム状で弾性のある防水層を形成する。マンションの大規模修繕工事では側溝などの複雑な形状をした箇所に一体性のある・継ぎ目のない防水層を形成するために用いられる事が多い。密着工法や通気緩衝工法などがある。
エキスパンションジョイント えきすぱんしょんじょいんと 建物の接続部や配管の接合部に用い、地震動や温度変化等による建物や配管類の変位を吸収する部材。Exp.J、EXPJなどと略す。
  SRC造 えすあーるしーぞう 鉄骨鉄筋コンクリート造。Steel Framed Reinforced Concrete。鉄筋コンクリートの内部や外部に鉄骨を用いる。強度に優れ、超高層や高層建築物に採用される事も多い。
  S造 えすぞう 鉄骨造。Steel。鉄骨を構造材としてつくった構造で、軽量で靭性に優れていることから、大空間の建物、高層建築物、橋梁等に採用される事も多い。マンションの新築工事においては、工期が短い、耐火性能や遮音性能に配慮を要する等の特徴がある。関連する用語に、ラーメン構造、ブレース構造、トラス構造、重量鉄骨、軽量鉄骨など。
  エポキシ樹脂 えぽきしじゅし 建築工事の現場では、接着剤・クラック(ひび割れ)への充填材・錆止塗料等に用いられる事が多い材料。優れた接着性、強靱性、耐熱性、電気絶縁性、耐食性等が特徴。
  エルボ えるぼ ダクトや配管の曲がっている部分や、給排水管などのL型の配管継ぎ手を指す。T字状の継ぎ手は「チーズ」。
  エレベーター えれべーたー 昇降機。乗用、人荷用、寝台用、非常用、小荷物用、住宅用などがある。
  塩害 えんがい 塩分によって鉄筋コンクリート、電気設備、金属などが害を受けること。一般的には海沿いの地域で多く発生する。建物に付着した塩分がコンクリートのひび割れから内部に入り込み、塩化物イオンが鉄筋を腐食させるなどの被害が挙げられる。
  エントランスホール えんとらんすほーる マンションでは主に共用部分の玄関ホールを指す。
  塩ビシート防水 えんびしーとぼうすい 屋上防水(屋根防水)の主要な工法の一つで、塩化ビニル樹脂を主成分とし、化学繊維を積層した耐候性にすぐれた防水シート。厚さの種類も1.5mm、2.0mmなどがあり、仕様の種類も密着工法・絶縁工法(機械式固定工法・機械的固定工法)等がある。
押さえ工法 おさえこうほう アスファルト防水などの屋上防水において、防水層の保護のためにコンクリートなどを載せる工法。マンションでは、ルーフバルコニーなどの歩行が予想される部位に用いられることが多い。

か行

カーテンウォール かーてんうぉーる 建築物の外部に面して取り付けられる非耐力壁のこと。パネル状の部材が工場製作され、現場では建物の内部からの取り付けが可能であるなどの特徴があり、工期の短縮や施工時の安全性の向上などにつながる。超高層建築物の外壁に採用される例も多い。
  外構工事 がいこうこうじ 建物本体を対象とした工事や設備工事以外の敷地などを対象とした工事。マンションの大規模修繕工事では、アスファルト舗装・側溝(横断溝)・門扉・造園植栽などが該当する。
  階高 かいだか その階の床面から上階の床面までの高さ。
  階段室 かいだんしつ 四方・三方などを壁に囲まれた階段が設けられた空間。マンションなどで階段室に直接住戸の玄関が面する形式を階段室型という。関連する用語に、開放廊下、内廊下、片廊下型、中廊下型など。
  開放廊下 かいほうろうか マンションでは、外気に開放された共用の廊下に面して片側に住戸が配置される平面形式。通風を確保しやすい、廊下に面する室のプライバシー確保が難しいなどの特徴がある。
  笠木 かさぎ 外壁の上端部、塀などの頂部、パラペットの上端等に保護を目的として設置する部材。アルミ等の金属製のものなどが見られる。
  瑕疵 かし 傷や欠陥のこと。マンション大規模修繕では、契約内容と異なる場合や期待される性能が発揮されない場面を指す。瑕疵担保責任、瑕疵保証など用語で用いられる。
  仮設工事 かせつこうじ 建物本体・工事目的物を完成させるために要する一時的な施設や設備に関する工事。マンション大規模修繕工事では、外部足場・内部足場・仮設トイレ・工事用電力・工事用水などが該当する。関連する用語に、直接仮設工事、共通仮設費など。
  可とう性 かとうせい 可撓性。軟らかく折り曲げることが可能である性質のこと。建築工事では、主に塗料やシーリング材に柔軟性があり、ある範囲で下地の挙動・ひび割れへの追従性を持った材料に用いられる。関連する用語に、微弾性、弾性など。
  金ゴテ かなごて 左官工事の工程で使用される金属製のコテ。壁面にモルタルなどを塗る際や、土間等のコンクリートやモルタルをならす際に使用し、主に表面を滑らかな仕上がりにする。
  かぶり かぶり コンクリートの表面から内部の鉄筋表面までの距離のこと。かぶり厚。鉄筋の付着強度を確保し、また、防錆や熱に対する保護のために要する。なお、建築基準法施行令にはかぶり厚に関する規定があり、「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては2センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあっては3センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあっては4センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあっては捨コンクリートの部分を除いて6センチメートル以上としなければならない。」とされる。
  壁式構造 かべしきこうぞう 建物の自重や地震等の外力を主に壁で負担する構造形式。中低層の鉄筋コンクリート造で採用されることが多い。ラーメン構造と比較すると、柱型や梁型が室内側に現れない一方、開口部の大きさや広い空間の確保に制限を受けやすい。関連する用語に壁式鉄筋コンクリート構造、壁式コンクリートブロック構造。
  仮囲い かりがこい 建築工事等を行う場合に危害防止等の目的で設置する仮設物。なお、仮囲いについては建築基準法施行令第136条の2の20に「木造の建築物で高さが13メートル若しくは軒の高さが9メートルを超えるもの又は木造以外の建築物で2以上の階数を有するものについて、建築、修繕、模様替又は除却のための工事を行う場合においては、工事期間中工事現場の周囲にその地盤面(その地盤面が工事現場の周辺の地盤面より低い場合においては、工事現場の周辺の地盤面)からの高さが1.8メートル以上の板塀その他これに類する仮囲いを設けなければならない。ただし、これらと同等以上の効力を有する他の囲いがある場合又は工事現場の周辺若しくは工事の状況により危害防止上支障がない場合においては、この限りでない。」と規定されている。
  顔料 がんりょう 鉱物質・有機質の着色用の固体粉末で、水や油などの溶剤に溶けないもの。一方、水や油に溶けるものは「染料」。無機顔料と有機顔料に分類される。
切妻屋根 きりつま 屋根形状の形式の一種で、壁である妻面から見ると両側への傾斜した屋根がへの字型になっている。寄棟、入母屋といった屋根と比較すると雨仕舞いや形状がシンプルであり、省コストに繋がることが多い。
く体/躯体 くたい 建物の主要な形状をなす柱・梁・壁・床などを指す。
  クラック くらっく ひび割れ。特に鉄筋コンクリートにおいては、乾燥収縮やクリープ現象によるクラックや、地震動や地盤の不同沈下に起因するクラックなどが代表的。ひび割れの幅が狭い・細いものをヘアークラック、ひび割れが構造的要因によるものを構造クラックなどと言う。
  加硫ゴムシート かりゅうごむしーと マンションの大規模修繕工事では、主に陸屋根の屋上防水に用いられる防水用のシート。加硫ゴムであるために伸び率が高く、耐候性に富む。接着剤で密着貼りする工法や、機械的固定によって下地と絶縁させる工法などで施工される。関連する用語に、アスファルトシート、塩ビシートなど。
蹴上げ けあげ 階段における一段の高さのこと。関連する用語として、蹴込み板、蹴上げ寸法、蹴込み寸法、踏み面(ふみづら)、踏み面寸法、踏み板など。
  ケレン けれん 塗装工事において、錆や既存塗膜を除去する工程のこと。
高圧洗浄 こうあつせんじょう 水を高い圧力で吹き出し洗浄する方法。外壁塗装工事の際に劣化塗膜や汚れ等の付着物の除去を兼ねて行うほか、外壁タイルやコンクリートの表面の洗浄、放射性物質の除染、排水管内部の清掃等に採用される。
  コーキング/シーリング こーきんぐ/しーりんぐ 雨などの水の浸入を防ぐためや、気密性を高めるために建具廻り、部材の継ぎ目、目地等に充填する材料。コーキングとシーリングは建築現場では同義語として使われる事が多く、建築現場では、職人の年代や所属している会社などによって呼び方が別れている様子。
  戸境間仕切り/隔板 こざかいまじきり/へだていた マンションのバルコニー・ベランダで、隣戸との境に設けられている間仕切り。災害時の避難経路とするために、パネルを破壊して隣戸に避難できる構造となっている例が多くみられる。
  骨材 こつざい コンクリートに混ぜる砂や砕石などのこと。砂を細骨材、砂利や砕石を粗骨材とする。関連する用語に、人工骨材、重量骨材、軽量骨材など。

さ行

サーフェイサー さーふぇいさー 樹脂系の下塗り兼下地調整材。大規模修繕工事では、外壁塗装の上塗り塗料の付着性の向上や、凹凸の微調整、上塗り塗料の溶剤によるリフティング予防などの目的で用いる。
  サイディング さいでぃんぐ 主に外壁の乾式工法で使用する板状の仕上げ材。セメント(窯業)系、セラミック系、金属系サイディングが近年は多く見られる。軽量で耐候性が高く、色柄などが豊富で、断熱材と一体化した商品など多くの種類がある。
  三方枠 さんぽうわく エレベーターの扉の周囲などで見られる左右と上部の3方にある枠。下枠(敷居)が無く、床面がフラットに連続する。
シート防水 しーとぼうすい 塩化ビニル系や加硫ゴム系のシートを貼り合わせる防水。接着剤で密着させる工法や金属製のディスク等によって部分的に固定する絶縁工法などがある。
  シーラー しーらー 壁・天井などを塗料等で仕上げる際に、下地のコンクリート・モルタル等の吸い込みを調整する、下地から染み出るアルカリ成分を抑制する、シミの発生を抑制する、弱い下地を補強するなどの目的で下地処理するための塗り材。
  シーリング/コーキング しーりんぐ/こーきんぐ 雨などの水の浸入を防ぐためや、気密性を高めるために建具廻り、部材の継ぎ目、目地等に充填する材料。コーキングとシーリングは建築現場では同義語として使われる事が多く、建築現場では、職人の年代や所属している会社などによって呼び方が別れている様子。
  磁器タイル じきたいる タイルを1,250度程度以上の高温で焼成したもので、堅く、吸水率が低い。マンションでは外壁仕上げに多く用いられるほか、内装や床タイルにも採用される。
  下地 したじ 仕上げ材の張り付け、取り付け、塗装をするための躯体・ボードなどの素地に当たる部分。関連する用語に、防水下地、塗装下地、屋根下地、塗り壁下地など。
  ジャンカ じゃんか コンクリート打設時の不具合のひとつ。打設時の締め固め不足、セメントと砂利の分離、また型枠の下端からのセメントペーストが漏れる等に起因して、砂利等の骨材間に隙間がある状態を言う。強度、美観、及び耐久性にも悪影響を及ぼす。
  (シーリング)シリコン しりこん シリコーンを主材としたシーリング材。ガラス廻りなどに使用される。塗装がのりにくい、プライマー無しで施工が出来る、撥水汚染に注意が必要、などの特徴がある。
  仕様書 しようしょ 工事目的物を完成させるために必要な設計図書の一種で、図面には表しきれない材料の品質、施工方法などを記したもの。各工事ごとに定める特記仕様書や、複数の工事で標準的に参照する標準仕様書などがある。
スタッコ すたっこ セメントモルタルを5mm~10mm程度吹き付け・塗り付けし、コテやローラーで表面に大柄な凹凸模様を付ける外装仕上げ、セメントスタッコ。本来は大理石に似せたイタリア産の左官材・塗装材。
  スラブ厚 すらぶあつ コンクリート等からなる床構造(スラブ)の厚さ。150mm〜200mm程度が多く見られる。関連する用語に、フラットスラブ、ボイドスラブ、片持ちスラブなど。
  スリーブ すりーぶ 給排水の管や空調用の配管等がコンクリート壁といった躯体などを貫通するための開口を確保するためのさや管。紙製・塩ビ製などがある。

た行

耐力壁 たいりょくへき 地震・風圧による水平力や、建物の自重(固定荷重)・積載荷重・積雪荷重などの鉛直力に抵抗するための構造上重要な壁。木造の場合は、筋かいや面材を張った壁が耐力壁となり、RC造の場合は厚さが12cm以上であるなど一定の仕様を満たした壁が耐力壁となる。
  タイル たいる 平板状の粘度焼成による仕上げ材で、床、内装、外壁など幅広く使用される。磁器質タイル・せっ器質タイル・陶器質タイル・素焼きタイルといったタイルの質の種類があり、二丁掛けタイル・小口平タイル・モザイクタイルといった大きさの種類があるなど、多様な種類がある。
  ダクト だくと 建物の空調・換気・排煙等の目的で設けられる風導管。
  ダクトスペース だくとすぺーす DS。建築物内の空調・換気・排煙等の目的で設けられる風導管(ダクト)を通すためのスペース。
  打診検査 だしんけんさ マンション大規模修繕工事では、テストハンマーやパールハンマーを用い、主にタイルやモルタル等の浮きを叩いて調べる検査方法。密着している部分と剥離して空隙が生じている部分で発生する音が異なる。打音検査。
  打音検査 だおんけんさ マンション大規模修繕工事では、テストハンマーやパールハンマーを用い、主にタイルやモルタル等の浮きを叩いて調べる検査方法。密着している部分と剥離して空隙が生じている部分で発生する音が異なる。打診検査。
  立ち上がり部 たちあがりぶ 水平面から連続して垂直方向に上がっている部分。設備機器のコンクリート架台の垂直面や陸屋根におけるパラペットの垂直面など。
  段裏 だんうら 階段の裏側の天井部分。
  弾性 だんせい 外部から力を加えると変形するが、力を除けば元の形状に戻る性質。マンションの大規模修繕工事では、ある程度のひび割れへの追従を期待する防水層や塗膜に、弾性のある建材を選定することがある。
長尺塩ビシート ちょうじゃくえんびしーと 塩化ビニル系の床材。ロール状であるため廊下・バルコニー・大面積の床の仕上げに適している。耐久性・耐摩耗性に優れている。
  中性化 ちゅうせいか コンクリートは当初はアルカリ性であるが、二酸化炭素等との中和反応によってコンクリート表面やクラックから徐々にアルカリ性が失われる現象を指す。なお、鉄筋コンクリート中の鉄筋は、コンクリートのアルカリ性によって錆が防がれているため、中性化が進行すると鉄筋の発錆や爆裂という鉄筋コンクリートの劣化に繋がる。
  チョーキング ちょーきんぐ 白亜化。主に塗膜が紫外線や熱等により分解され、表面から白く粉が吹く劣化現象をいう。
妻側 つまがわ 切妻等の勾配屋根のかけられた建物の棟に対し直角な両側面。一方の棟に平行な両側面を「平(ひら)」という。マンションでは、ベランダや廊下がある面に直角な面を指す。関連する用語に、妻入り、平入り、妻壁など。
  継手 つぎて 部材と部材との接合部。配管・木材などで使用する用語。特に木造建築では、柱や梁などの材の軸方向に接続する接合部分を継手、直角方向に継ぐ接合部分を仕口という。関連する用語に、伸縮継手、エルボ、蟻継、鎌継、相欠きなど。
天井高 てんじょうだか 床の仕上げ面から天井の仕上げ面までの高さ。関連する用語に、階高、床高など。
  テストハンマー てすとはんまー 頭部の一方が平面、もう一方が尖ったハンマー。打音によりコンクリート等の状態や、ボルト・ナットの緩みの有無を判断したりするのに用いる。コンリーとテストハンマーとしてコンクリート強度を測定するシュミットハンマーを指す場合も見られる。
トップコート とっぷこーと 最上層に塗る塗料全般を指す。防水シート・ウレタン塗膜防水では、防水層の保護・着色を目的に最上層に用い、吹付けタイルでは上塗り材(仕上げ塗料)に用いるもの。
  トップライト とっぷらいと 天窓。トップライトは、採光効果に優れる一方、雨仕舞いに注意を要する。排煙・換気等の機能を持たせる例もみられる。
  塗膜防水 とまくぼうすい ウレタンゴム系等の液体の防水材を塗布し、シームレスな(継目の無い)防水層を形成する防水工法。複雑な形状にも対応できる。補強布を張る工法や通気緩衝シートを張る工法などがある。
  ドレイン どれいん 屋上やバルコニー・ベランダなどの排水口。

な行

法面 のりめん 切土や盛土の傾斜面。地面が傾斜しているところ。

は行

パールハンマー ぱーるはんまー 先端が球状の調査用のハンマー。タイル面やモルタル塗り面の浮き(剥離によって裏面に空隙が生じている状態)がある部分を軽く叩くと、太鼓様の軽い音がして判断できる。
  パイプシャフト ぱいぷしゃふと PS。配管類(ガス管・給水管・排水管など)を上下階など縦方向に通すためのスペース。
  剥離 はくり はがれること。マンション大規模修繕では、塗膜や防水シートが部分的にはがれてくる場合や、モルタルやタイルの浮き等に対して多く使われる。
  白亜化 はくあか チョーキング。主に塗膜が紫外線や熱等により分解され、表面から白く粉が吹く劣化現象をいう。
  爆裂 ばくれつ 鉄筋コンクリートの代表的な劣化現象の一つで、鉄筋コンクリート中の鉄筋が腐食し膨張することで、外面のコンクリートが剥落するように押し出した状態。コンクリートの中性化やかぶり厚の不足に起因することが多い。
  柱型 はしらがた 柱の形が、主に壁から部分的に飛び出して見えている部分をいう。関連する用語に、梁型(はりがた)。
  白華 はっか エフロレッセンス。コンクリートやモルタルから染み出る白い炭酸カルシウムなどから成る生成物。軽微な白華はコンクリート強度への影響はないが、美観上の問題とされることがある。
  撥水汚染 はっすいおせん シリコン系シーリング材に含まれる油分が時間の経過とともに遊離し、大気中の汚れを吸着し、目地などのシーリング周辺を薄黒く汚染すること。
  はつる はつる コンクリートを削ったり部分的に壊す事。のみや振動ハンマーを使用して人力での作業を指す事が多い。
  巾木(幅木) はばき 壁と床の取り合い部に設ける帯状の部材。汚れやすい・衝突しやすい壁の下部を保護する、すきまをふさぐ等の見切りを目的として設ける。室内では木製・塩ビ性等、外部ではモルタル・タイル等の様々な材料が使われる。
  パラペット ぱらぺっと 屋上廻りに設ける低い壁で、外壁や防水層の端部を雨仕舞いに適する納まりとする目的を持つ。
PC工法 ぴーしーこうほう 工事現場でコンクリートを打設するのではなく、あらかじめ工場などで製作した鉄筋コンクリート部材(プレキャストコンクリート)を用いる工法のこと。施工時間の短縮化や、部材の精度を確保する事を目的とする。
  微弾性フィラー びだんせいふぃらー マンションの大規模修繕工事では、吹付けタイルの塗り替えに用いることが多い下地調整材・下塗り中塗り材。既存塗膜のクラックをある程度カバーできる。微弾性とは僅かに弾力性がある性状を示し、弾性塗料のようなゴムのように伸びる程の弾性は有さない。
  平場 ひらば 主に屋根や屋上の平らな部分を指す。一方、屋上端の低い壁などを「立ち上がり」「立上り」という。
  ピロティ ぴろてぃ 2階以上の建物において1階部分が主に柱のみによって支えられた空間、及び構造形式を指す。マンションでは駐車場・駐輪場・通行に利用することを目的として採用する場合が見られる。
  ピンニング ぴんにんぐ ピンを埋め込む工法。特にマンションの大規模修繕工事では、モルタルやタイルの浮き部分を穿孔し、エポキシ樹脂を注入した後にステンレスのピンを差し込む工法に見られる。
フード ふーど 建築工事においては換気設備に設けるカバーを指すことが多い。キッチンのレンジ上部のカバー等をいう。
  フィラー ふぃらー 充填材・埋めるものの意味であり、大規模修繕工事においては、外壁塗装の下地処理や、クラック(ひび割れ)の補修に使用される。微弾性フィラーといった上塗り塗料との接着剤の役割を兼ねるものもある。
  吹き付け ふきつけ スプレーガンで左官材料や塗料を外壁などに吹き付けて仕上げる工法。リシン・吹付けタイル・スタッコ吹付けなどの仕上げがある。均一な仕上がりとなり作業時間が早いが、材料の飛散に注意を要する。
  吹付けタイル ふきつけたいる 主に外壁仕上げに採用される複層の仕上げ塗材で、凹凸模様に仕上げる。艶のある仕上がりとなり、水洗いも可能で汚れにくい。
  (シーリング)ブチルゴム ぶちるごむ イソブチレンを主材とするシーリング材。粘着力が強く、板金加工や防水シートの重ね部分に用いられる事が多い。
  プライマ― ぷらいまー 下地と仕上げ材(塗料・防水シート等)の接着性を高めるために用いる液材。
ヘアークラック へあーくらっく 髪の毛の幅ほどのひび割れ。なお、0.2〜0.3mm以上がコンクリートに有害なクラック幅と考えられ、それ未満のひび割れを指す事が多い。
  (シーリング)変性シリコン へんせいしりこん 変成シリコーンを主材としたシーリング材。コンクリートー金属間やサイディング目地など幅広く使用される。シリコン系シーリングより上に塗装がのりやすい。
ボーダー ぼーだー 異なる仕上げの境界に設ける帯状の縁を指す。コンクリートで設けた窓の縁、壁クロスの模様が変わる部分に設ける帯、土間の縁、階段の見切り、外壁サイディングに意匠的に設ける帯などに見られる。
  防水材 ぼうすいざい 雨や浴室などの水から、建物自体や下階の住戸や財物を保護する役割を果たす建築材料。アスファルト防水、シート防水、塗膜防水等の種類がある。
  ポップアウト ぽっぷあうと コンクリート表面付近で内部に膨張圧が生じ、壁の表面部分が小さくはじけ出し、くぼみ状の欠損となる現象。水の凍結、鉄筋の錆、骨材に含まれる鉱物の膨張に起因する。
  (シーリング)ポリウレタン ぽりうれたん ポリウレタン樹脂を成分とするシーリング材。比較的安価で、ALCの目地や塗装仕上げを行う目地部分に用いられることが多い。
  (シーリング)ポリサルファイド ぽりさるふぁいど ポリサルファイドを主材とするシーリング材。石・タイル・アルミ製建具・打継ぎ目地に用いられる事が多い。

ま行

水切り みずきり 雨水などの水が浸入しないよう、廻り込まないように設ける溝や金物。アルミサッシの下部、外壁の下部、バルコニーの天井と壁の境目などに見られる。
  見付 みつけ 正面から見える部分、及びその幅。一方の用語として、正面から見える部分の奥行きを「見込」という。
メーターボックス(MB扉) めーたーぼっくす マンションにおいては、水道・電気・ガスなどのメーターを納めたボックス。パイプシャフト・パイプスペースと併設されることが多い。MBと表記される。
  目地 めじ タイル・ボード・ブロック・レンガ・石・コンクリート等の建築材料の部材間の隙間や継ぎ目。関連する用語に、芋目地、馬目地、わらい目地、眠り目地、底目地、糸目地、目地割、目地材、打継ぎ目地など。
  メッシュシート めっしゅしーと マンションの大規模修繕工事では、外部足場の外側に張られたメッシュ状のシートを指す。工事中の資材・工具等の飛来落下や塗料飛散の防止等を目的とする。メッシュ状であることで、通風性、風圧の軽減等が得られる。
  面格子 めんごうし 防犯を目的として窓等に取り付ける格子。アルミ等の金属製のものが主流。
モルタル もるたる セメント、水、砂を混ぜて練り合わせた材料。施工時はペースト状であり、左官工事として仕上材、下地材、目地材、躯体の調整などとして多く用いられる。コンクリートと違い、砂利(粗骨材)が入らず、クリープ現象(伸縮)を起こしやすい。

や行

養生 ようじょう 工事に関連して、周辺を汚したり傷つけないよう保護することや、コンクリートやモルタル等が一定の強度に達するまで、水分を与えたり保温し保護すること。

ら行

ラーメン構造 らーめんこうぞう 柱や梁で建物を支える構造で、接合する部分が剛接合(しっかり固定)されているものを指す。鉄筋コンクリート造、鉄骨造で採用される場合が多い。ラーメン(rahmen)はドイツ語で「額縁」の意味。
  ラッカー らっかー 無色及び着色された塗料の一種で、揮発性の高い溶剤に樹脂を溶かしたもの。乾燥によって硬くて艶のある塗膜を形成する。
リシン りしん 外壁の塗装仕上げの一種。スプレーガンを使用して塗料を混ぜた骨材をRC造の壁等に薄く吹付ける工法で、比較的安価である。アクリルリシン(アクリル樹脂に砂粒を混ぜたもの)のほか、セメントリシン(セメントと砂粒を混ぜたもの)などがある。
  陸屋根 りくやね、ろくやね 平らな屋根。RC造やS造に多く見られるが、木造でも採用される。
ルーバー るーばー 羽板(幅の狭い板)を縦ないし横に、隙間をあけて並列に組んだもの。羽板の角度によって、採光(日よけ)や通風、目隠しなどを調整できる。
  ルーフドレイン るーふどれいん 屋上の水下に設ける雨水の排水口の金物。鋳鉄製・ステンレス製・樹脂製などがあり、落ち葉やゴミなどが雨水排水管に入り込むのを防ぐ。
  ルーフィング るーふぃんぐ 主に屋根に瓦や金属板を葺く際の下地に貼るシートを指す。住宅の屋根では、アスファルトを染み込ませたアスファルトルーフィング等が多く使用される。
レイタンス れいたんす 生コンクリートを打設した後に、上部の表面に浮き上がってきたセメントや砂からなる層。コンクリートの打継ぎ面にレイタンスがあると、コンクリートが一体化しないため、強度上の支障やひび割れの原因となる。

わ行

枠組足場 わくぐみあしば 門型の鋼製建枠に鋼製布板や交差筋違を組み合わせ、積み上げて設置する仮設足場。マンションの大規模修繕工事では、外壁塗装や外壁タイルの修繕のために用いられる例が多い。